「乗ろう」




不意に、隼人の声が聞こえた。

虚ろで、喉の奥から絞り出すようなその声に、耳を疑った。





「駆け引きに、乗ろう」




再び発せられた隼人の声は、さっきよりもしっかりしていて。

その声には、力強い隼人の意思が込められていた。






心のどこかで、隼人は否定すると期待していた。

利枝の元へといかないと思っていた。

なのに、あたしの考えはただの自惚れに他ならなかった。

それほどまでに、隼人のあやちゃんへの思いは大きいものなのだ。





仕方がないよね。

あたしなんて、所詮他人。

隼人と何の繋がりもない……