「乗ろう」
不意に、隼人の声が聞こえた。
虚ろで、喉の奥から絞り出すようなその声に、耳を疑った。
「駆け引きに、乗ろう」
再び発せられた隼人の声は、さっきよりもしっかりしていて。
その声には、力強い隼人の意思が込められていた。
心のどこかで、隼人は否定すると期待していた。
利枝の元へといかないと思っていた。
なのに、あたしの考えはただの自惚れに他ならなかった。
それほどまでに、隼人のあやちゃんへの思いは大きいものなのだ。
仕方がないよね。
あたしなんて、所詮他人。
隼人と何の繋がりもない……
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…