周りの人たちはざわざわするのだが、隼人は身動き一つしなかった。 身体にしがみつく利枝を振り払うこともなく、ただ俯いていた。 隼人だけが時を止められたのかと錯覚するほどに。 あたしの鼓動は最高潮に達し、今にでも草むらから飛び出したい衝動に駆られる。 隼人は自分を犠牲にしてまで、人を守るから。 だからきっと……