月明かりに照らされた小さな広場。
その中心に、屈み込む隼人。
その前に、すらっとした女の影が現れる。
ほんのりと照らされたその長い髪は、明るくきらきらと輝いていた。
……利枝。
胸がぎゅっと締められる。
利枝は勝ち誇ったように、口を開いた。
「あなたの妹が悪いの。
あたしの質問に答えないから。
あなたとあたしを近付けないようにしたから」
広場の端から聞こえるすすり泣きの声が、一層大きくなる。
あやちゃんだ。
あやちゃんは隼人のためを思って、隼人を守ろうとしたのだろう。
だけど、それで利枝の怒りを買ってしまって……。
利枝はくすりと笑った。
わざとらしい、馬鹿馬鹿しい笑い方だ。
そして、形のいい唇で、
「あたしの男になってくれたら、あなたの妹を解放してあげる」
恐ろしい言葉を吐いた。



