「うん、あやは昔からたった一人の理解者だったから。
俺が道を踏み外しても、あやは俺のそばにいてくれた」
隼人、本当は寂しかったんだね。
強がっていたけど、すごくしんどかったんだね。
あたしは俯いた。
そんなあたしの頭にやんわり手を置いて、優しく撫でてくれる隼人。
「でも、今は美優もいる。
俺はね……」
頭に置かれた手がゆっくり下がり、あたしを優しく抱き寄せる。
そして、耳元で静かに囁いた。
「俺はね、美優がいなくなったら、
もう駄目かもしれない」
隼人のそのまっすぐな言葉に胸を打たれる。
心臓がぴりぴりと震える。
あたしの前では弱音すら吐く隼人。
隼人は冷徹でも残酷でもなくて、愛情あふれる普通の人間だ。



