そして、淳ちゃんは隼人の耳元で小さく囁いた。
「この先には、西高の奴らがたむろしている。
行かない方がいいんじゃね?」
隼人は何も言わなかった。
ただ、淳ちゃんに少しだけ笑って返した。
「あぁ、友情っていいな」
思わずそう言うと、ふざけんなと淳ちゃんが言う。
だけど、間違いなくこの二人は友情で結ばれていると思う。
お互いがお互いを好きなんだな、とよく分かる。
それは、淳ちゃんだって分かってるでしょ。
「じゃあな、橘。
明日からはちゃんと仕事来いよ」
自分だって休んでいるくせに、先輩面をして手を振る淳ちゃん。
隼人は再びありがとうと言って、あたしの手を引いた。



