隼人、あたしこそありがとう。
こんなあたしを好きになってくれて。
疑うあたしをいつも信じてくれて。
陽が傾きはじめた住宅街を手を繋いで歩き、祭りの始まる広場に出る。
すでに屋台が立ち並び、大勢の人で賑わっている。
道路に座り込んで煙草を吸う、がらの悪い集団の横を通る。
いつもならビクついてしまうが、隼人といたら何だか平気で。
「兄ちゃん、綺麗な姉ちゃん連れてるな~」
囃し立てる少年たちを無視して歩いた。
この人たちは、隼人の正体を知ったら青ざめるに違いない。
そう考えると不思議な優越感が湧いてきて、ふふっと笑ってしまった。
「美優、なに笑ってるの?」
隼人が不思議そうにあたしを見たが、
「ううん、何でもない」
笑いながらそう返すあたし。
笑いながら隼人の手をぎゅっと握った。
夢だった。
こうやって大好きな人と祭りに行くなんて。