ぱたんと扉が閉められる。 通された部屋は、母親の寝室のようで。 化粧ドレッサーとシングルベッドが置いてある。 「ごめんね、あたしの部屋、散らかってるからさ」 あやちゃんはそう言って、紺の花柄の浴衣を取り出す。 「お母さんはね、あたしたちのために朝から晩まで働いてくれていて。 今は仕事なんだ」 あやちゃんは自慢げだった。 どんな理由で離婚してしまったのかは知らないけど、 あやちゃんと母親の関係は良好のようで、少しだけ安心したあたしがいた。 そして、そんな母親が留守中でホッとしていた。