「お兄ちゃん、帰ってたんだぁ!
……彼女?」
にこにこしながら彼女はあたしを見る。
その笑顔に裏なんてないように思えた。
「は……はじめまして。
川崎美優です」
おどおどと自己紹介すると、
「お兄ちゃん、でかしたじゃん!!
彼女超可愛い!」
自分の方が可愛いくせに、顔をくしゃっとして隼人を叩く。
「お兄ちゃんのくせに!
出来損ない最凶お兄ちゃんのくせに!!」
「あや、うるさい」
隼人は笑いながら、ぽんぽんと妹、あやちゃんの頭を撫でた。
あぁ、まるで淳ちゃんとあたしのやり取りじゃん。
そんなことを思いながら二人を見ていたあたし。
気付いたら、自然と顔がほころんでいた。
隼人の家って離婚したり隼人がグレたりで、大変だったのだろうと想像していた。
だけど、それはあたしの勝手な想像に過ぎないのかもしれない。
この仲良し兄妹を見て、何だかとても安心した。



