その時……
「あれ?お兄ちゃん?」
明るい声がした。
思わず振り向いたあたしは、息を呑んでいた。
目の前にいる女の子は恐らく高校生くらいだろう。
黒い髪を頭の上でお団子にして、白い歯を見せて笑っていた。
大きな瞳、小さな鼻、頬はほんのり紅く染まっていて、上品な顔立ちはやっぱり隼人に似ているが、隼人とは雰囲気が全く違っていた。
隼人を静と言うなら、彼女は動。
隼人を月と言うなら、彼女は太陽。
かげりのない明るい笑顔でピシッと背を伸ばして。
きっと、人気者の生徒会長なんてやってそうなタイプだった。
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