隼人は、その後すぐに帰っていった。
明日は実家に泊まるから、荷造りしなきゃと呟きながら。
だから、必然的にあたしも家に帰ることになる。
小さな旅行鞄に必要最低限の物を詰め、再びベッドに潜り込んだ。
「俺を信じて」
あたしの耳の奥で隼人の声がぼんやり聞こえ、隼人の力で利枝の幻覚も現れなかった。
信じなきゃ。
僅かでも可能性があるのなら、隼人を信じなきゃ。
九十九人の男性が利枝を選んでも、隼人はあたしを選んでくれるかもしれない。
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