冷静なあたしと違い、明らかに取り乱しているのは隼人の方で。
「城内……」
その声は微かに震えていた。
「三秒以内に美優から離れろ。
さもないと、蜂の巣にしてやる。
さん……に……いち……」
「仕方ねぇな」
淳ちゃんはへらへらと笑いながらあたしを離し、隼人に向き合った。
そして、
「蜂の巣って……訳分からねえ。
っつうか、お前も堕ちたな」
心底面白そうに笑った。
それでも隼人の焦りは治まらないようで、無理矢理淳ちゃんをあたしから引っ剥がす。
隼人はあたしに背を向け、淳ちゃんを睨んでいた。
鬼のような顔をしているのかもしれない。
それでも淳ちゃんは怯むことなく、にやにや笑いながら隼人を見上げていた。
淳ちゃんは明らかに隼人を挑発しているようで、怒りに負けた隼人はその挑発に乗ってしまうかもしれない。
不吉な予感がする。



