「なになに!?
隼斗、美優のこと知ってるの?」
小さい方がまくし立てる。
しかも、いきなり美優呼ばわりだ。
だが、隼斗と呼ばれた方も、
「美優と知り合いだったら良かったのに。
残念だね」
馴れ馴れしくそう呼んできて。
あぁ、この人たちはそういうノリなのかと思った。
ここは、彼らに同調させなきゃ……
「えと……隼斗と……」
「翼!俺は横谷翼。
こいつは、橘隼斗」
小さい方……翼は、元気に自己紹介をしてくれた。
この二人、いや、翼は空気が読めないのかというほどの口の持ち主で。
その口から繰り出されるマシンガントークのおかげで、あたしはほとんど頷くだけで会話が成り立っていた。
うるさくてせわしない翼は、いつもなら間違いなく面倒だと思ってしまうような人物だ。
だけど、今日は翼に救われていた。
翼のおかげで気まずい空気もなく、少しずつだけど緊張の糸もとけてきたようだった。



