「あれ?
お前、城内の女じゃね?」
どこかで聞いたような男の声がして、あたしはビクッと飛び上がった。
この話の内容、そしてこの声色。
きっと、相手は良くない男に違いない。
ゆっくりと振り向いた。
見なくても、相手はだいたい想像出来た。
そして、その人とは二度と関わりたくないと思っていた。
ゆっくりと視線を上げる。
派手なシャツに、胸元には金色のネックレス。
髪も同じく金髪に輝き、耳には大きなピアスが光っている。
その金髪……西高の金髪は、その鋭い瞳であたしを嘲笑うかのように見つめていて。
逃げたい。
だけど、恐怖で立ちすくんでしまうあたしがいた。



