素敵彼氏の裏の顔




気付いたら、楓の周りには先輩たちがたくさん集まっていて。

馴染みの友達みたいに、わいわいきゃあきゃあと声を上げていた。

あたしは完全に蚊帳の外で、新歓なんて来なければ良かったなんて後悔するほどだった。





分かっている。

黙っているだけじゃ、駄目だってこと。

あたしだって第二の人生を歩むつもりで大学に来たのに。




だけど……







「君も新入生?」




不意に声がして、ビクッと飛び上がる。

心拍数が、一気に跳ね上がった。

恐る恐る後ろを振り返ると……




「よろしくね」




そうにこやかに笑う二人組がいた。





思わず後ずさりするあたし。

だけど、逃げてはいけないと言い聞かす。

あたしは、いつからこんなに臆病になったのだろう。