「お前はどうしてそんなにも美優が気になる?」 俺は、静かに橘に聞いた。 奴は俺から目を反らし、その形のいい唇をゆっくり開いた。 「俺は、一途な女に弱い」 何だ、その言い方は。 「散々遊んでたくせに」 思わずそうこぼしてしまった。 仕方がない、こいつの悪行は暴力だけではなかったから。 こいつは次々と女をヤリ捨て…… そんな男に美優が捕まったと思うと、美優が気の毒で泣けてくる。 だが、俺の言葉が再び奴の怒りを買ったらしい。 ブチッ…… 何かが切れる音が聞こえた気がした。