新歓の場所は、大学近くの居酒屋だった。
あたしたちが着くと、既に先輩たちが集まっていて。
「はじめましてぇ」
人懐っこく挨拶をする楓の隣で、あたしはただ突っ立っていた。
よく考えたら、あたしのそばにはいつも淳ちゃんがいた。
人付き合いが下手なあたしに、いつも淳ちゃんが友達を連れてきてくれた。
淳ちゃんといるだけで、自然と友達の輪が拡がっていった。
ー淳ちゃんは人気者だったから。
だけど、そんな淳ちゃん無しでは何も出来ないあたし。
先輩とも仲良くなれないし、友達だって、社交的な楓しかいない。
一人になって初めて気付いた。
あたしは、淳ちゃんに何から何まで頼りきっていたことを。



