「城内。お前って残酷だな」
「は?」
俺は不意にそう呟いた橘を見て、さらに顔を歪めていた。
「俺に貸しを作って、恩を着せたりもしなくて。
……性格いいんだろうな」
何だよ、それ。
当てつけかよ。
「お前がそんなんだから……
俺はどれだけ頑張ってもお前に勝てない」
「ふざけんな!!」
俺は思わず叫んでいた。
橘……いや、あの神木が俺に勝てないだと?
俺とこいつとじゃ、圧倒的な力の差がある。
あの夜も、俺は必死に身体の震えを我慢していた。
どれだけ頑張っても、俺は神木にはなれなかった。
それなのにこいつは……俺をからかっているようにしか見えない。



