橘を睨むが奴が怯むはずもない。 「俺はてめぇには用はねぇ」 そう吐き捨てると、 「俺は用がある」 奴は相変わらず静かにそう言った。 ……確かに静かだが、そのオーラは破壊的だった。 美優の前ではなよなよしているくせに、俺の前では本性を出しやがる。 さすが西高の帝王なだけあって、俺は思わず後ずさりをしていた。 だが…… 「暴力団に狙われてるんだって」 「……は?」 橘の顔をガン見する。 その、変わってしまって誰だか分からないようなイケメン面で、奴は困ったように俺を見ていた。