「俺が北高で恐れられていたのと同じように、西高では城内が恐れられていた。
それをウザいと思った俺たちは、お互いを潰しにかかる。
はじめは城内の彼女だと聞いていた美優を捉えて、城内の目の前で屈辱的なことをしようと企んだ」
「えっ……」
それがあの日の出来事。
西高の輪の中に突っ込んだあたしは、もうすぐで隼斗たちに捕まるところだった。
「だけど、出来なかった。
涙を流した美優に、これ以上泣いて欲しくないと心から思った。
どうしてだか分からないけど……
凍っていた俺の心が、融けていく気分だった」
あたしは隼斗の胸に耳を付ける。
そこから聞こえてくる隼斗の鼓動は、思いのほか速い。
「ごめんね、美優。
辛かったよね。
怖かったよね」
隼斗の声は震えていて。
ううん、大丈夫、と言いたいのに、声が出ないあたし。
ただただ、隼斗の身体にしがみついていた。
隼斗はそんなあたしを包む手に、少しだけ力を入れる。
隼斗の温かさを身体で感じ、隼斗が好きだと再確認する。
あぁ、ずっとこうしていたい。
あたし、すごく幸せだよ。



