手を引っ張られ、足早に廊下を進む。
暗い階段を下り、人の集まるトイレの前を通り過ぎ、校舎の外へと飛び出す。
春の暖かい太陽の光が、あたしたちの上に降り注ぐ。
その上で、すっかり葉桜になった桜の枝が、ざわざわと揺れていた。
淳ちゃんは、その太い桜の近くのベンチに腰を下ろした。
この学校には、淳ちゃんみたいな派手な男は殆どいなくて。
通り過ぎる人は、オレンジの髪の淳ちゃんを物珍しそうに見、淳ちゃんと視線が合いそうになると決まって目を逸らすのだった。
「ここは淳ちゃんの生きる世界じゃないよ」
敢えてそう忠告したつもりが、
「うるせぇな」
さらに怒りを勝ってしまう。
淳ちゃんの生きる世界ではないが、隼斗はこの世界で生きている。
その事実に苛ついているのか、それとも……
「俺と付き合え」
突然聞こえたその言葉に、
「は?」
あたしは、文字通り口をぽかーんと開いたまま淳ちゃんを見ていた。



