当の淳ちゃんも、あれ以来姿を見せることはなかった。 ……いや、一回だけうちに挨拶に来て、 「都会に働きに行く」 なんて言っていた。 まだ青く腫れている頬を撫でながら。 淳ちゃんの言う『都会』は東京に違いない。 だから追いかけるつもりで…… なんてことは、勿論ない。 あたしは既に悟っていたから。 淳ちゃんとあたしは、釣り合わない。 淳ちゃんはあたしの保護者でしかないから、と。