「何でじゃべんないの?」 俺が真子のベッドを背もたれにして座っていると、真子は机の上のメモとボールペンを指差した。 え、なに? メモがなに?ボールペンがなに? とりあえず真子に従って、それを真子に渡した。 受け取ると、メモにすらすらと文字を書き始める。 何で筆談……? 普通に話せばいいのに。 よく見ると、真子のまだ湿った髪の毛が、妙に色っぽく見えた。 「んっ」 ん、とだけ言った真子は、書き終わったメモを俺の目の前に突きつけた。