にっ、と笑って真子は俺に向かって手を差し出した。 ここに、パウダーシートをのせろと…? 知らないからな、と念を押して俺はパウダーシートを一枚真子の手の上にのせた。 「ありがと」 拭き始めたパウダーシートからは、少し鼻にツーンとくる、ミントの匂い。 真子から男物の匂い… ちょっと違和感を覚えたけど、とりあえず、真子が風邪引かないことを願う。 「すげっ、お前パウダーシートとか持ち歩いてんの?」 後ろから、唯斗が耳元でコソッと話しかけてきた。