挨拶も大事だけどさぁ、と真子は遠くを見つめるような目をした。
「瑠偉のばか。何で気づかないの?」
「え?」
何で気づかないの?って、何に?
真子が何を言っているか理解でしなくて、俺はしばらく真子を見ていた。
「お母さんが挨拶で怒らないのはさぁ…!」
口調からして、怒ってるように見える。
真子は一瞬俺のことをチラ見して、
「…もういいや」
と、俺を置いて走って校門まで行ってしまった。
そこでやっと、もう学校に着いたんだと気づいた。
「え?!ちょ、真子…!!」
グラウンドを横切って、パタパタとローファーをならしながら走って行ってしまった。


