「なんで…いっつも…」




栄太の呟きが静かに風に乗る。




「なんでいっつも総司達ばっかり!!」


「は?」


「………………………」




栄太が突然声を荒げて叫んだ言葉に、当の本人達は目を丸めた。


奏はただ黙って栄太の様子を窺った。




「なんで…僕だって奏お姉ちゃんと一緒にいたかったから、あの人にお願いしたのに…なんで突き放すのさ!!総司達は今も一緒にいられるっていうのにっ!!」


「何を言ってるの?答えは簡単だよ。………お前があの男に助力しているから。桜を使い、人を殺め、力をつけ、所謂悪霊と成り果てたから。僕から奏を奪おうとするから」


「最後のは明らかな私怨じゃねぇか」


「じゃあ、奏じゃなくて響だったらどうなのさ」


「殺る」


「お前らは過激なんだよ!」




珠樹が栄太の首元に後ろから刀身をはわせた。


横には先程の珠樹の言葉でいささか不機嫌になった鈴もいる。


こんな時なのに、思わず永倉はつっこんでしまった。




「昔は子供の姿だったから何もしなかったけど、今はいい具合に成長してくれてるし………容赦はいらないよ?」


「総司も黙っとけ!!」


「土方さん、うるさいですよ。耳元で叫ばないでくださいって何回言ったらいいんですか?」


「俺は、お前に、何回怒鳴らせれば気がすむんですか、だ!!」




土方から飛んでくる拳骨を沖田はひらりと交わした。




「ニャォーゥ、ニー」




桜花が刀を向ける奏と珠樹の方を交互に見て、一声、二声鳴いた。


まるで、刀を下ろして、そう懇願しているように聞こえた。