家に着いても、誰もいない。

ふらつく足取りでソファに腰掛けると、気持ちが和らいでいった。

「はぁ………」

今までの人生の中で一番重いため息が出る。

―疲れた。

私はそのまま、ソファで寝てたみたい。

もっとも、気付くのは翌日だけど。




「…来!未来?!」

「……へっ?」

だ、だれ!?

「何やってんの?もう遅刻しちゃうよ?行こう?」

えっ!!

「愛!?!」

「……愛だよ?」

う、嘘っ!?

ガバッと起き上がる。眠気なんて何処の空だ。

「だ、ってあれ!?愛……!?転校は!?」

「何言ってんの?メール見た?2学期の頭だってば!今4月!」

……あっ。

「そ、そっか……あ、あと、起こしに来てくれて申し訳ないけど、ごめん。休みたい」

私が申し訳なさそうに言うと、愛は表情をちょっと曇らせた。

「何?なんかあるの?」

「…うん。ごめん」

「そう。じゃ、お大事に」

はぁ…。

私が心配しているのは、未だに思いだ出ない愛との思い出だった。