少しずつ、中川君の走るスピードがゆっくりなものになっていって、やがてピタリと歩みを止める。





ドンドンっ






『失礼します。』





中川君は私を担いだまま、どこかのドアを開けて入っていった。





私はどこだろうと、不思議に思い、頭を上げて確認しようと振り返った。






ゴンっ…!!





鈍い音がして、すぐに激しい痛みが頭、ううん、おでこに走る。





『おいっ!!?』





チカチカと星が飛んで、ガンガンと痛むおでこ。




どうやらドアの入り口をくぐる瞬間に頭をあげてしまったから、思い切りぶつけてしまったみたい…





「い、いった――いっ!!」




中川君は私を肩から降ろして覗き込む。




おでこを抑えてた手を避けられ、じっと見られる。




「ひっ…」




中川君のドアップに体がのけ反る。