『…渉の応援?そんなの…出来るわけないっ!!』






息巻く先輩達を見て、裕美が耳打ちしてきた。






『渉先輩の好きな子って、彼女になったのかな?…だとしたら大変そうだね…。バレたらきっと…』






言葉を切る裕美。
先輩達が辺りを見回していたからだ。
一瞬こっちを見たけど、すぐに外される視線にホッとする。




きっと…




裕美の言葉の続きは、
“先輩達に囲まれて、何か仕打ちが待ってるね”




そんな内容の言葉だろう。





…大丈夫。






私がその彼女だなんて誰も気付くはずないよ。





大丈夫…






ポケットの中に手を入れて、私のネクタイを握りしめて自分に言い聞かせた。