ヒミツの恋【短編集】

赤く染まる頬を悟られないように、私はカウンターにある返却本を手に取り片付けを始めた。





本を戻して、まだまだある返却本を取りに戻る時、チラリと渉を見ると、疲れていたのか、腕を枕がわりにしてテーブルに突っ伏して寝ているようだった。





腕の上に乗る横顔が少しだけ見える。






寝顔も素敵だな…





そんな事を思いながら起こさないように静かに本を片付ける。





全てを片付け終えた頃には日も落ちかけていて、図書室を赤く照らす。





渉が寝ている事で少しだけ大胆になっていたんだと思う…




寝ている渉の前の席にそっと座り落ちる夕日を眺めていると一緒に見ている錯覚に陥って、私は浮かれてしまった。