黄昏に香る音色

ホームに、電車が滑り込んで来た。

急行だ。

「じゃあ…お先に…」

電車に、乗り込む里美の背中に、

「おめでとう!里美!」

明日香は、声をかけた。

里美は振り返り、

「ありがとう…明日香」

里美は、涙ぐんでいた。

ドアが閉まり、電車が動き出しても、明日香は手を振り続けた。

電車が、見えなくなるまで。

「明日香…」

里美はドアにもたれ、涙を拭っていると、

携帯が鳴った。

切ろうとしたけど、画面を見て、

里美は慌てて、出た。

口元を手で覆いながら、

「高橋くん。今、明日香と別れたところ…」

電話の相手は、高橋だった。