「俺は、ママの子供なんだ。本当は、安藤なんていやだった」

啓介の声が震える。

「音楽も、俺が…生きてきたすべては、母さんから教わり、学んだことなんだ…だから!」

恵子は、息子の声を聞いていた。

「母さんの息子が、絶対に賞を取る。歌手である母さんの息子が!その姿を見るまで、絶対元気でいてくれ」



受話器を置き、

泣いてしまった恵子は、

アメリカから届いた荷物に気づいた。

中身は、CDだった。

LikeLoveYouのライブ盤。

ジャケットは黒一色で、白字でメンバー名が書いてあった。

恵子は驚き、大粒の涙を流した。



Keisuke Hayami

速水啓介と書かれてあった。

初めて目にした…心には描いていたが、隠していたもの。

恵子は、CDを抱き締め、

ただ泣いた。