夕陽の中で、

少年は、限りなく綺麗だった。

でも、

どうして…

あたしのことを知っていたのだろう。

それとも、いつも放課後に、こんなところにいるから…目立っているのだろうか。

明日香の疑問を、かき消すかのように、

チャイムが学校中に、響き渡った。

それは、部活の終了を告げる合図でもあった。

少年はちらっと横目で、練習をやめるサッカー部を確認すると、ため息とともに、

「どうやら…あなたも僕も…終わりのようだね」

「で、でも」

明日香は、少年に一歩、近づこうとした。


「明日香あ!」

近くから、里美の叫び声が聞こえた。

「里美…」

明日香が、声がした方に振り返ると、

少年は肩をすくめ、寂しげな笑みを浮かべた。