「あのお…あたしは?」

置いてきぼりのような空気を感じ、

里美が、手を上げた。

はっとする滝川と浅倉。

二人は小声で、

「部長…」

「分かっているよ…浅倉副部長…初心者を、入れるわけにはいかない」

滝川は、咳払いをすると、

ニコニコと里美に近づく。

里美の肩に、手を置いた。

「有沢くん…君には特別な…君しかできない!ことを、用意してあるから」

滝川は、ウィンクをした。

「君にしかできない!」




「って…何?」

顔をしかめる里美を、

滝川は、無視して、

明日香達の方を向く。

「音楽祭は、1ヶ月半後です。姉妹校だけでなく、一般の人も参加してきます」

「まあ…ブラスバンド部より、注目を集めたらいいだけですので」

滝川と浅倉は、明日香の肩を叩いた。

「明日から!このユニットは始動するんで、よろしく!」

断れない空気に、明日香は、深いため息をついた。