「よくわからなかった」

里美は、貸してもらったCD…ジャズが、イマイチだったらしい。

明日香は、クスッと笑うと、

「聴くとやるは、違うから…里美も、音を合わせたら、わかるようになるわ」


昼休み。

いつもの場所である…体育館裏のベンチで、2人は寛いでいた。

もう夏だ。

この場所は、日陰だからいいけど、

少し動くだけで、汗をかいてしまう。


「明日香。あたしさあ…園芸部やめようと思うんだ」

里美は、烏龍茶を飲みながら、話し出した。

「もともと…興味なかったしね。だから、やめて…軽音部に入ろうと思うんだ」

「どうして?」

唐突な里美の言葉に、明日香は少し驚いた。


「あたし…あんたより、出遅れてるでしょ。だから、入ろかなと。ママの店は、あたしを教えだしたら、あんたの時間が、少なくなるし」

「里美…」

「あんまり…店までいけないし」

里美は、烏龍茶を飲んだ。

「そんなに、気を使わなくていいよ」

「もう入部したし」

さらっと言う里美。

「え!」

明日香が驚くと、

里美は、お茶を飲み干し、

「いやあ〜説明だけ、ききにいくはずだったんだけど…あまりにも、部長が男前でさ!これは運命よ」

里美は、ガッツポーズをとる。

「もう園芸なんてやってられない。音楽こそ、新たなあたしの始まりよ」