黄昏に香る音色

もしかしたら、学校で一番最初に、駅に着いたかもしれない。

帰る方向とは、反対方向の為、切符を買おうとするけど、

小銭を、なかなか出せない。

それ程、興奮し過ぎて、気が焦っていた。

電車が来た。

何とか買えた切符を、改札に通し、

明日香は、電車に飛び乗った。

次の駅で、地下鉄に乗り換え、

降りた駅から、改札を出た明日香は、

目の前に聳える山に、圧倒された。

こんな所に、BARという所があるのだろうか。

まだ、比較的なだらかな道を、明日香が歩いていると、

山に夕暮れが訪れた。

オレンジの光のシャワーに、あらゆるものが、満遍なく染められる中、

一際、輝くものがあった。

明日香は、光り輝くものに、引き寄せられるように、山道を歩き出した。

それは、木造の扉にかかった…一枚のプレートだった。

クローズとなっている扉。

其処こそが、KKだった。