はじめはどうしていいか分からなくて戸惑った。

明らかな好意を向けられることはしょっちゅうだったけど、こんなに全面に出してくる子ははじめてだったから。

前から存在は知っていた。みんなが面白い子だとか、がんばり屋だとか言ってたし、里美の話にもよく出てきた。

でも、合唱大会近く、いつものように早い電車で学校に行くと、それよりもずっと前に隣の教室でピアノの音が聴こえてきた。
合唱大会が終わるまで、毎日。

それから、私は勝手に君と頑張っている気になっていた。