「夏音、頑張ったね……」

「未歩っ……」


 安心する彼女の甘い香りに心が落ち着く優しい声、

 すべてが私を包んでくれた。


「えらい、えらい……夏音は頑張った。だから泣いていいんだよ……?」

 そのことばで涙腺がもっと緩み、視界がどんどん歪んでいき、涙が溢れた。

 ここがフードコートだということも忘れ、ただただ泣いた。