それから少し顎を持ち上げられた。
・・・・・・って、そんな呑気にしてる場合じゃないよっ?!
「離してっ!!!」
そう言ってゆぅの胸板を思いっきり押した。
「前の私と重ねないでっ!!!」
「・・・・・・
ごめん・・・・・。
ちょい頭冷やしてくるわ・・・・・・。」
切なそうに部屋を出ていく背中を見ることしかできなかった。
それから数秒後、『バタンッ』と玄関のドアが閉まる音がした。
ゆぅが家を出たんだ・・・・・・。
あのままいってたら、ゆぅとキスしてたのかもしれない。
それを私は拒んだ。
ゆぅとキスするのが嫌なわけじゃない。
むしろ期待してしまっていた私がいた。
だけど私は拒んだ。
だって、前の私だと勘違いしているゆぅがいたから。
私はもう前の私じゃない・・・・・・。
見た目は変わらないのかもしれないけど、心は違うの。
だから、なんでかゆぅには今の私とキスして欲しかった。
なんでかな?
わからない・・・・・・。
どうして今はこんなに寂しいのかな・・・・・・?
「好きなの・・・・・・?」
思いついたことを口に出してみた。

