「なぁっ!待てって!!」

「い~~~やっ!!!」


 私は完全に拗ねて、大好きなあたたかい声からも、大きくて優しい手からも、うつ向いたまま前を見ずに早歩きで逃げていた。


「じゃあ、せめて前見て歩いてっ」


 こんな状況でも私を心配して言ってくるから癪にさわる。


 なによっ!

 あんなに楽しそうに佐々木と喋っていたくせにっ

 今頃になって私とかっ、ちょっと虫が良過ぎるんじゃないのっ!?


 イライラはMAXに達していた。


「もうっ、付いてこないでよっ!!!」


 声を張り上げて、叫ぶように言った。


「仕方ないだろ、帰り道一緒なんだからっ」