それからはただ辛いだけの日々が始まった。

 一度お母さんが帰ってきたときは、ただ寂しかった。

 昔の優しい、料理上手なお母さんはいなかった。

 ただ何もできないと騒ぐただの女の人だった。

 お母さんが帰ってくる、そう聞いたときの私は嬉しくて堪らなかった。

 だから毎日まだかまだかと待ちわびていたのに、帰ってきたのは知らない人。

 何もかもが、顔のパーツですら違っていた。

 恐くて恐くて近付けなくて、ただ遠くで見ていることしかできなかった。

 お父さんは疲労で痩せていくばかりで、毎日疲れた顔をしていた。


 それから少し経ってお母さんは病院へ帰った。


 それから私はお母さんに会いに行くことをかたくなに嫌がった。

 もう会いたくなかった。