いや、元々はただ儚かった。

 少し間違えれば壊れてしまいそうなほど、儚い天使だった。

 だけど本当は、壊れてしまいそうなほど弱々しくて、何よりも繊細で素直じゃない猫みたいな愛らしい子。

「本当はっ…話したいんだよっ……だけどっ…嫌われるのが恐くてっ……」

 本当なら今すぐにでも抱き締めたい。

 だけど、寝ているという設定になってしまった以上、そんなことはできない。

 俺たちはバカなのかもな。

 お互いを想い合い過ぎて、本当のところが見えなくなっていたんだ。

 好きだなんて伝えなくても、いつもお互いに全面に好きだと示していたのに、全くお互いに気付かなかった。


 本当にバカだ。