一人より二人の方が楽しいのは誰よりもわかっているつもりだった。

 いつだって一人だった私に、初めて笑いかけて話しかけてくれたあのときの未歩のことは今でもよく覚えている。


 あれは中学2年生になって1ヶ月経たないくらいの頃だった。

 席に一人座っていると、一人のクラスメートが話しかけてきた。

『ねぇ、日高さんでしょー?』

 それが未歩だった。

『うん、そうだけど……なに?』

『私ずっと話してみたかったの』

 どうせデタラメだ、と思って私の性格を知ったらどうせすぐ離れていくだろうと諦めの気持ちを持ちつつ毎日一緒に過ごした。


 だけど未歩は冷たく振る舞う私に毎日飽きもせず、ずっと話しかけて遊びに引っ張って、
 夏が来ても、秋が来ても、冬が来ても、また春を迎えても、

 ずっとそばにいてくれた。

 それから私は、私をちゃんと受け入れてくれて認めてくれて、友達として接してくれてるんだとわかって、心を開いて未歩と本気で友達になった。