少し顔を左へ傾ければ見える俺の好きな子。

 彼女の横顔はいつも綺麗で凛としている。

 だけど、今日の彼女は寂しそうで苦しそうで辛そうで、哀愁が漂う、そんな横顔だった。

 そんな彼女を見ているのは辛くて、少しでも気が楽になるならと、休み時間の度に声をかけてはふざけた。


「ひーだかさんっ」

「なぁに?」

 相変わらず学校では天使を続けていて、俺にでさえ柔らかい笑みを作って柔らかい口調で話す。

 俺はそんな偽って息苦くなってしまっている彼女とは話したくなかった。

 だから言った。


「これから学校抜け出して遊園地行こっ」