夜を望む





 ああ、光のあたっている人に言われる言葉は、日陰にいる女にはつらい。

 痛いほど滲みて、取り返しがつかなくなってしまう。



 逃げたくても、手を掴まれてしまった。その手に驚いた。


 振り返った先に見た、その目に私は酷く、光を浴びたような温度を感じる。



 冗談よね?、私は言う。
 本気だけど、宮元は言う。





「誘ったり、何処でも話しかけたりしている時点で、気づけよ」




 馬鹿なのはどっちだ。

 夜だけど、と言った私に「もう一度言ってやろうか」と宮元は悪戯っぽく笑っている。


 悔しいから、私も、太陽に負けないよう言い返すための言葉を捜す。