──それから、しばらくの間、あたしは洋介に抱きしめられていた。 トクントクン……。 洋介の鼓動の音がはっきり聞こえる。 「舞」 洋介があたしの名前をふいに呼んだ。 「何?」 「オレ達、何で離婚したんだろうな」 「……」 あたしは、答えられなかった。 「舞はオレと性格が合わないって言ったよな」 「言ったかな?」 「言ったよ。でもそんなのが本当の理由じゃないんだろ?」 「……」 (洋介は勘づいているの?) (あたしが、離婚した理由は──…) 「離婚してから、色々考えたんだ」 「考えた?」