けたたましく鳴り響いたケータイは、俺に最悪の報せを運んできた。



「……せい、か……?」

「………」

「星佳、星佳……っ!!」



物言わない、冷たくなった彼女を、俺は何度も呼んだ。

『横断歩道』、『車』、『雨』、『スリップ』、『即死』。

彼女の父親が話す言葉からそんな単語を頭が拾って、そして結びつける。

それでも信じたくないと、心が拒否をした。



「嘘だろ、起きろよ、星佳……っ」

「……智くん……」

「なあ、なんで目開けないんだよ。いつもみたいに笑って、こっち見ろよ……っ」

「智ッ!」



動かない星佳に掴みかかりそうな勢いの俺を、後ろにいた京一がおしとどまらせた。

俺は唇を噛み、京一を突き飛ばして白い部屋を飛び出す。

そしてそのまま、降り止まない雨に身体をさらした。



「………」



空を見上げても、あるのは暗闇だけ。

絶え間なく降ってくるしずくが、乾いていたはずの服や髪に染み込んでいく。