こんなに驚いた桐生さんの表情を見たのは、出会ってから初めてのことだったかもしれない。



「……え?」



目を見開いて、わたしを見下ろす。

そのカオと声音は、ありありと“驚き”を表していて。



「もちづ……」

「すきです。桐生さんが、すきです」



決して掴んだ服は放さないまま、わたしは繰り返した。

ドクン、ドクンと、心臓が壊れそうなくらい大きく音をたてている。


……『ありがとう』って、頭を撫でてくれたら。

やさしい笑顔を、見せてくれたなら。

そんな思いで、彼が次に言うせりふを待つ。


──そして。