ぐっと下唇を噛む。 「……今のは、読んだんでしょ?」 「………え…」 いつの間にか落としていた視線を上げると、目の前に未希が立っていた。 「動きからしてわかった。棗は、蒼乃が右来ると思ってたでしょ?」 「!」 未希には、すべてわかってるみたいだった。 あたしはゆっくり頷く。 「ディフェンスで、相手の動きを読むことは難しいけど、必要。棗は、それを自分でやった」 未希はウインクしながら親指を立てた。 「ナイスディフェンス」