オレと瑠衣はホテルを出た後、すぐに別れた。

瑠衣は樹里に申し訳ないことをしたと思っているのだろう。



家に着いたのは朝の9時過ぎだった。

何となく後ろめたいような気持ちで、玄関のドアを開けた。

家の中に入ると静まり返っていた。


「樹里?」


寝室を覗いたが樹里はいなかった。

いつもなら休みの日はこの時間帯は寝てることの方が多いのに。

ベッドの上に部屋着が置いてある。着替えてどこかに出かけたらしい。

何となくホッとしてしまう自分がすごく嫌だった。

リビングに戻った時、玄関のドアが開く音がしてドキッとしてしまう。



「亮二、帰ってたんだー。昨日は酔っ払って、会社の人の家にでも泊まったの?」

樹里がオレの顔を見るなり聞いてくる。

「あぁ…うん。樹里はどこに行ってたんだ?」

「散歩だよ」

「散歩?」