倒れるように先生に体重を預ける。


先生はそれにしっかりと応えてくれるかのように私のボロボロになった身体を抱いて支えてくれた。



「先生…お願い…抱いて…」

「小川…?」

「お願い…っ」



あいつの気持ち悪い感触を消して。

お願い。


先生は静かに頷いた。
そして二人は場所を変え求め合った。


お互いにお互いの傷を癒そうとしてたけど、傷を広げただけかもしれない。


それでも私は先生がいたから今ギリギリな状態でも生きてる。


生きてこられた。


でもこの時思ったんだ。


私は先生を好きにはならない。

愛さない。


大切だから大切にするけど、絶対に愛さない。


だってきっと幸せになんかなれない。

ふたりで居ても不幸にしかなれない気がした。


先生のこと、好きにはならないよ。


だって先生はどうしようもない馬鹿だもんね。


あくまでも寂しさを埋めるだけ。

傷を隠すためだよ。


先生とのはじまりは、本当に切なかった。

だって希望はどこにもなかったから。